これからの生きかたと死にかた コロナ禍で私たちはひっそりと動物になっていく #竹下隆一郎

<朝日地球会議2020(60分)> 10/11(日)~10/15(木)にオンラインで開催される「朝日地球会議2020」。「新しい未来のための5日間」をメインテーマに、国連の掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を目指しつつ、民主主義や気候変動などについて考える様々なプログラムを実施。その1コマとして落合陽一氏の講演がある。参加費無料・要事前申込(申込ページ 朝日地球会議2020公式サイト)。
10/14朝日新聞から講演の動画とそれをもとにした記事が公開された。

公式告知

いきなり始まった「ウィズコロナ」生活。私たちはウイルス感染を避けて家にこもり、経済活動も制限しながら生きています。そんな時代に人はどう生き、どう死んでいくのか。文化やアートはどんな力を持つのか。このまま巣ごもりした動物のように、自宅にこもって、食べ、眠る毎日が続くのだとしたら、私たちはどんな影響を受けるのか。
・「__する音楽会とは」? コロナと芸術
・テクノロジーはどこまで役立つのか?
・『2030年の世界地図帳』は有効?コロナと国際協調
・「SDGs」に関心を持ち続けるために
・「人間」と「動物」の違い コロナと人類の未来

聞き手 竹下隆一郎 ハフポスト日本版編集長
日時 2020/10/11(日) 14:30~15:30

対談概要メモ

[注:録画録音禁止の中の大まかなメモ書きです。]

ひとり1スタジオ時代の情報発信

竹下 コロナでフェスやライブが無くなった。この「朝日地球会議」も毎年大勢の人が集まるが、今年はオンライン開催。人が集まると拍手等反応も分かるが、シーンとした会場に一抹の寂しさを感じる。
(※2019年の朝日地球会議:2019/10/29 落合陽一公式note 「魔法陣の世紀」 / CEATECと朝日地球会議でSociety5.0ってなんだっけと考えながら
落合 マスクをする=匂いがない、海開きや冠婚葬祭などの祝祭がない=季節感がない。家に籠って仕事をするので、予定がテトリスのように詰まっている。講演が「番組」収録になった。コロナで、ひとり1スタジオ時代ー全世界の人がYouTuberになった。アンディ・ウォーホルは「未来には誰でも”15分だけは”有名になれる」と言い、その後「”15分で”有名になれる」と言い換えた。これはTVからSNSへの変化と対応している。そして今「15分検索して見つからない人は有名人ではない」時代になってきていると思う。
竹下 おっしゃる通り、SNSは「誰でも15分で有名になれる」時代だ。インターネットによって、有名人でなくても情報発信力を持てるようになった。これは良いことだろうか?
落合 発信者側の民主化という面では良い。だがクオリティ担保の仕組みが必要だろう。イベントのオンライン配信が増え「見てくれ」と1日に複数件、URLが送られてくる。生放送は倍速で見れない。受信者側は、玉石混交の玉をどう捕まえるかがカギになる。(※参照:2020/07/26 落合陽一note 劇団ノーミーツの「むこうのくに」を見てきた(?))

コロナと芸術「__する音楽会」とは? (13:40~)

ー「__する音楽会」のTシャツを着てきた落合。コンセプトや演奏曲目、これまでの流れ、今年の試行錯誤等について対談が進む。以下資料を見れば得られる情報のためまとめは割愛するー

①2020/09/07 【ラジオ】日本フィルハーモニー交響楽団とのプロジェクトについて
②2020/09/30 【動画】日本フィルハーモニー交響楽団・平井俊邦理事長との対談
③公式情報・メディア露出まとめ

『2030年の世界地図帳』は有効? コロナと国際協調 (13:58~)

竹下 この朝日地球会議がきっかけになって2019年に出版された『2030年の世界地図帳』。それまでの目標と何が違うのか?また「コロナ禍でそれどころではなく、2030年や世界のことなど知ったことではない」の声も聞かれるが?
落合 背景にESG投資の流れがある、制約を使って新しい価値をつくる枠組みだ。(※右記インタビューに詳しい:2019/12/27 gooddo 落合陽一が見据えるSDGsと新しい経済。データが語る未来の羅針盤)。大量生産大量消費で安さを重視した成熟社会は停滞する。「サステーナブルに」という制約で発展するだろう。
ケインズは100年後の2030年は労働の必要すらなくなる、と論じた。共有財として富が配布されるなら起こり得るだろう。コロナによって、SDGs3「すべての人に健康と福祉を」や、都市に集中していた構造も変化しSDGs11「住み続けられるまちづくりを」が進んだ。まとまりのよい目標だと思う。

コロナで変化した色々:写真、映画、働き方(テレワーク)、大学、子育て

竹下 写真家でもある落合さん。コロナの前と後で写真の撮り方は何か変化したか?
落合 人間を撮影しないことは変わらないが、題材の傾向が「石」から「植物」に。これは建築物の素材の違いだろう。コロナ前は世界各地で写真を撮っていた。海外は教会など石造りの建物が多いが、日本は寺院など木造建築。コロナで日本でばかり写真を撮るようになり、木・家屋・蔦・蔓などを撮ることが増えた。

竹下 映画館はどう変わる?僕は毎週のように、子どもと行っていたが行かなくなった。
落合 収まったら行くことになるだろうが、ネットフリックスを良く使っている。新作の封切をネットでやることが増えていくだろう。このような新しいビジネスモデルが生まれていくだろうが、映画業界にとっては死活問題になる。

竹下 コロナで普及したテレワーク。これは一時的だろうか?
落合 内閣府の調査に「テレワーク経験者の2~3割が地方移住できる」と回答した。恒久的にできると気づいた企業は、この流れは変わらないだろう。だが、医療介護・保育園・運輸など、全部はテレワークにならない。

竹下 大学はどう変わった?キャンパスの雰囲気を味わえないし、ゼミで人と集まることもなくなったでしょう?
落合 学園祭もなくなった。秋は毎年6コマほど持っているが、すべてオンラインに。4つの大学で教えているが秋にようやく教室で授業をした。1年生にとっては初めて教室に集まったわけで、新入社員・新入生の人間関係の構築は課題だ。

竹下 子育てはコロナでどう変わった?news zero収録の息子さんとのやり取りのブログが面白かった。(※参照:2020/10/11 「じゃぁzero行ってくるね」といったら弊息子に「行ってらっしゃい,知らない人とお喋りしちゃダメだよ」と言われる)
落合 家から出て行かないので、コロナ以前より5倍ぐらい一緒にいる時間が増えた。廊下から子どもの声が聞こえてくる。子どもにとっては、横の父親の部屋からそのまま目の前のテレビに映っているだけという認識のようだ。コロナ禍ではそれ以前と違う世界観で子ども達が育っていくのだろう。

視聴者からの質問①エシカル消費 (14:10~)

竹下 エシカル消費(人や社会、環境に配慮した消費行動)や寄付が日本では海外に比べて浸透していないのはなぜだろう?
落合 日本は意外と拝金的。ヨーロッパには「セレブなら寄付しないとね」という圧が働く。とは言え、紙ストロー、ジェンダー平等などと少しずつ日本でも進んできており、次は寄付が広まるだろう。クラウドファンディング「READYFOR」を作った当初は「善意を使った商売」と言われたが、だんだん変わってきている。
僕はカメラでオールドレンズを愛用している。再利用、骨董品の価値が見直されていくと思う。

視聴者からの質問②人間と動物の違い

竹下 先ほど人間社会には芸術が欠かせない、という話をした。では、人間が動物とは違う特徴は何だろう?
落合 先日対談したオードリー・タンは、人間の最も好きなところを「人間は賢人(サピエンス)なので、知性だ」と言っていた(※詳細:10/3放送ズームバックオチアイ)。人間には、祝祭、共同幻想、自立共生性がある。祝祭と儀礼は人間特有だと思う。

竹下 儀礼と言えば、コミュニティには秩序が大事。だがtwitterを見ると秩序がないと感じる。
落合 例えば、大学の授業で受講生約500人が25ツイートしただけでトレンド入りする。twitterを世界だと思うのは危険。

竹下 炎上すると全世界から嫌われているように感じてしまうが、ごく一部の反応ということですね。落合さんは以前は説明しようとしていたが今はスルーですね。面と向かっては使わないキツイ言葉、コロナの自粛警察など、思いやる気持ちもないように見える。
落合 以前はbotがリプライで反応するようにしていたが、炎上時には火に油を注ぐね。今はクソコメは完全スルー、全く正面から向き合っていない。SNSを維持する気がない人が罵詈雑言を吐く。空間を維持するだけの社会性がないのだと思う。(※参照:2019/09/14 落合陽一note SNSユーザーって「社会」を維持する気あるの? って話
(バンナム「自分以外全員SNS」を使ってみた体験に触れて)また、意図が伝わっていないのに褒められるのも虚しい。罵詈雑言と大差がない。(※参照:2020/06/26 落合陽一note 現実も,もうとっくにAIbotだらけのSNSだったのでは(という万人の万人に対するチューリングテスト)

海外と日本のルール策定の違い (14:18~)

ー2つの記事を紹介する竹下。話題は、先にバシッと目標を決める中国・アメリカなどの外国と日本の違いに。「日本には言ったことをやらなければならないという風潮が強い」せいで明文化しない。とはいえ逆に明文化されていない良い面もあるという落合、デジタル庁が起こすであろう変化に期待を寄せた。この「日本文化に合った変化のあり方」は、ラジオ「日本文化(5/18放送)」など色々な場で語られている。ー

世界の4つのデジタル・イデオロギー。日本は米中のいいとこどりを

竹下 『2030年の世界地図帳』(52-53頁、95~101頁)でも触れられているが、世界には4つのデジタル・イデオロギーがある。では、日本は?
落合 地域によってデジタルのイノベーションの軸足が異なる。

1 ヨーロピアン・デジタル LVMHやロレックスなどブランド力によるエンパワーメント
2 アメリカン・デジタル グーグルやアマゾンなどオープンソース×イノベーション。コロナ対策ではオープンソース・データ提供で迅速に対応
3 チャイニーズ・デジタル バイドゥやアリババなど国家を後ろ盾にしたイノベーション。国・行政・リーディング企業の繋がりが強く、コロナ対策では有利に働いた
4 サードウェーブ・デジタル インドやアフリカなど発展途上国で起きている「近代」を経由しない一足飛びのイノベーション。携帯電話のモバイル決済。医薬品をドローンで運ぶ

日本のように多様性が低いとデジタルを使わなくても何とかなってしまう部分がある。近代の成功体験にしがみつかずに、アメリカ・中国のいいとこどりをしていくのが良い。それには、CCPR(カリフォルニア州新プライバシー法)のようなデータ保護のプロセス整備が不可欠(※この辺り、10/7デジタル庁大臣・平井氏との対談に詳しい)。
2018年の著書『日本再興戦略』(※124頁辺り)では、5G(第5世代移動通信システム)が2020年頃に日本のイノベーションを進めると予測した。ドライビングフォースがウィルスになるとは思わなかった。

竹下 5G。もし10年前にコロナが来ていたらどうなっていただろう?
落合 2020年の今でもVR、テレプレゼンスロボなどの最新技術は使われていない。10年前の技術で対応している。

竹下 発酵とはどういう意味か?
落合 発酵とは空気中のコウジカビなどで起こる。つまり発酵の原資は空気中にある限界費用の低いもの。デジタルのイノベーションも、限界費用の低いもの(コピーの容易さ、OSS等)で起きるというメタファーで「発酵」という言葉を使っている。

【まとめ】これからの生き方・死に方とは?ー「祝祭」 (14:29~)

ー「これからの生き方・死に方とは?最後に黒板にメッセージを」と竹下に促され、落合が書いた言葉は「祝祭」。ー

落合 コロナで冠婚葬祭が無くなった。人類は祝祭性を活かしていかないといけない。「儀礼性」が動物にはない人間らしさ。ひっそりとした祝祭がたくさん出てくる状態が「発酵」だと思う。

後で消すメモ

ざっとまとめるのが先。講演も生放送も「編集」されていない分、当然、視聴者にとっての取れ高が少ない。編集だと字幕で補足したり冗長さをカットできる。反面、台本通りに進めることになり予定調和になる。ということは視聴者の質問にガンガン答えるのがいいんだろうか(≒大学の授業)、うーん

「講演」カテゴリー 終了したら時系列に格納できるように(いま「講演」は非表示になってる)、出演予定はタグで制御する。いったん「読む」で表示しておく。

「この時にこんなことを話してた」とキーワードだけ毎回積み重ねておく。「講演」カテゴリーは「この先の登壇予定」が網羅されていることが主の役割かもしれん?その後「毎年こういう場所でこんな感じのことを話しているんだなあ」と分かる記録が残っていれば十分。たぶん「自分のための勉強」という目的で参加するだけでいいんだと思う。アーカイブ動画を残さない講演は生もの感が強いので、詳細な記録自体が主催者の意図と異なる。うーん・・・アーカイブの仕方は相変わらずもやる。基本「このサイトが終着点ではなく「現物を視聴する」ための経路。

会議や講演のやり方も変わったが、オンライン視聴できるのはありがたい。コロナでオンライン開催になると、「ウェブの対談番組」と大差がなくなる。以前はもっと半日仕事だった。とはいえ「オフラインのその場所に人が集まる」はやはりイベント主催者としては嬉しい。「満席にする」という考えがコロナでなくなっちゃった。マスメディアの記者の取材方法も変わった。