コロナで偏在するコミュニケーションと孤独。落合陽一氏に聞く、ネガティブな孤独の解消方法

<JFNラジオ「FUTURES 落合陽一RADIO PIXIE DUST」孤独> 九州大学がコロナによる学生生活の影響を調査したところ、学生の4割が孤独感を感じると回答。15%の学生が1ヶ月友人と直接会話をしていないという。落合陽一氏が学生時代に感じる孤独のメリットと、デメリットの解消方法について語った。

放送概要

環境が変わったばかりの新入生を苛む「ネガティブな孤独」

「15%の学生が1ヶ月直接友人と話をしていない」と言われても驚かないかもしれません。ただ、ポイントは1年生です。大学1年生から4年生までいて、25%(1年生)が実家から出ていない、一度も大学に行ったことがないという状況も起こりえる。その人たちが、1ヶ月友人と会話をしないというのは当然のことで、孤独だろうなと思います。

コロナになってから、学生とのミーティングの回数や時間を増やしました。これまで1人15分だった面談を30分に。それを30人と話すので15時間。3日ぐらいかかりますね。孤独な子は孤独なんでしょうが、うちのラボは元気な方だと思います。キャンパスに人が少ないからコロナの状況下でも研究がしやすいと言うこともあるでしょうね。

特に環境が変わったばかりの新入生のことを配慮しないといけないとずっと考えています。僕も1年生対象の授業を担当していますが、今年はオンラインなので本当に顔を見れていません。ゼミに来た新入生も今年はいないため全く会っていないのですが、体調に不調をきたすような「ネガティブな孤独」を感じている新入生が増えているように感じます。

スケジュールの過密、将来への不安…。1つの要件なら何とかなるが、2つ以上の要件が重なると体調に不調をきたす学生が多いと思います。このようなネガティブな不安は解消していきたいと思うものの、オンラインで解消しない孤独はフィジカルに2~3人で会って解消するものでもない。大学のキャンパスの持つ”妙な連帯感”みたいなものは大切だったんでしょうね。

博士課程で感じたポジティブな孤独「違う道に踏み出してひとりで生きていく」

僕も、博士課程に進学した時に孤独だなと思ったことがあります。修士課程を過ごした同じ大学で、その場に学生はたくさんいるんですよ。けれど、知り合いがいない。それまでの高校、学部、修士では入学式があって同期が10~20人は少なくともいて、授業に出ると皆がいた。皆がうようよいて「このうようよした人間たちの中で生きていくんだな」って思っていました。

けれど、博士課程ではほとんど授業を取らなかったし、同学年は皆働きに外に出てしまって、同期もひとりだけ。博士課程になっていよいよ、うようよする人間が居なくなった時「あぁ、違う道に踏み出したんだな。ひとりで生きてかないといけないんだな」と思いましたね。慣れるのに1ヶ月ぐらいかかりました。今年の高校1年生、大学1年生が同じような気分だとすると、結構孤独だろうな。

大学のオンライン授業の増加でますます増える孤独な時間

博士課程の頃を振り返って良かったことと言えば、孤独だったことです。孤独のメリットは考える時間をじっくり取れること。孤独と上手に向き合うことができれば、すばらしい時間になります。ニーチェは「孤独を味わうことで、人は自分に厳しく、他人に優しくなれる。いずれにせよ、人格が磨かれる。」と言いました。人格は磨くし、アイディアは出てくるし、新しいネタを閃き、クリエイティブが増える。博士課程に進学希望の学生さんがいると、僕は「孤独耐性」に注目します。孤独耐性がある子は伸びがいい。それは、ひとり孤独に何らかの結論を見出して考えていくことが重要だからです。

とはいえ、孤独耐性という技能が備わってない世代がいきなりやると、マイナスに転びやすい。うようよする人たちが高校生の段階からいきなりいなくなると、耐えられない人もいると思います。100人のうち1人アーティストになればいいから残りは適当に生きてくれという古きよき美大教育みたいになってしまい、良くない面があります。

大学は、研究がしたくて先生になっている人が多いから、授業ではなく研究に時間を当てたい人が多い。もちろん、なかには教育熱心な人もいますが。リモートで授業ができると、自室から出なくてよくスライドのアップデートも楽。だから、オンラインの授業は増えていくと思います。オンラインにしているものをオフラインに戻すモチベーションがある人は結構少ないんじゃないか。そうすると学生の孤独な時間は増えるだろうなと思います。

二極化する孤独とコミュニケーション

孤独に苛まれている学生たちができることは、なるべく友達と一緒にいることでしょう。ネガティブな孤独への対策対策は、人と会うことです。人と接することで得られることが多々あります。

一方、僕の場合は、ウィズコロナでミーティングが組みやすくなり、孤独な時間が減って本当に困っています。先日、1週間に他人と話している時間を測ってみたんですが、115時間もありました。1日に15~16時間、人と話している。5時間は睡眠時間として、残り3時間しか人と話していない時間がないんです。これはヤバい。番組でも人と話しているし、移動時間もミーティングです。しかも聞いていればいいわけではなく、僕が話さないといけない。そんな状況が3~4ヶ月続いています。最近は土日に孤独な時間を取るように、なるべく人と会わないようにしています。

社会的な距離を置くことで人と人の心が遠くなる状況はもうしばらく続くでしょう。僕は人と異常に会っているが、会っていない人は異常に会っていない。孤独な人はずっと孤独と言う状況に偏在していく。孤独とコミュニケーションが二極化して偏在しています。この偏在をどうやって解消するかは重要な課題だと思います。

孤独を楽しんだ久々の夏休み

今年は数年ぶりの夏休みを取りました。ボートに乗って湖の波に揺られながら、孤独を楽しみました。湖の真ん中まで行かないと孤独になれないのかと思いますか?自転車やボートを借りたり買い物をするたびに「いつもテレビ拝見してます」。すれ違う人に「どこかで見たことがあります」とか話しかけられました。ありがたい話ではあるけれど、孤独は減っていきますよね。人のいない、誰も見ていない湖の真ん中で、孤独に向き合いながら「水だな」「波は美しい」って思いながら過ごしました。

この夏休みのおかげで、人生がちょっとポジティブでハッピーな方向に向かっていると言うか、モチベーションが高くなりましたね。少ない休養をうまく機能させるには「余白」みたいなものが必要です。そういう余白を定期的に数日取りに行くことを心掛けています。

孤独な時間をポジティブに過ごすためのコツ

僕が孤独に過ごす時は、朝起きてまず朝食前に映画を1本見ます。それから本を読みながら創作活動をして、写真を撮りに行く。映画を見ながら夕食を食べ、読書しながら寝るという感じですね。

孤独な時間を楽しく過ごすためには、やはり一番は読書でしょう。その他にも、映画、音楽……世の中には一生かかっても消費しきれないコンテンツがあります。孤独を感じている新入生は、アニメや漫画を大量に見る、ゲームをする…なんでもいいんでなるべく入力時間を増やしてみよう。入出力のバランスが、入力:出力=7:3ぐらいがいいですね。

僕の場合、最近孤独な時間が取れていなくて、入力:出力=1:21。いかに出力時間に見せかけて入力時間を確保するかという黒魔術のような状態です。「とにかく孤独な時間を取りたい」という世間と真逆なことを言っているのではないかと思いつつ、がんばっていきたいと思います。

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