『ズームバック×オチアイ』で対談したオードリー・タンさんの印象は

<JFNラジオ「FUTURES 落合陽一RADIO PIXIE DUST」視聴者からの質問メール> 番組後半の2通目は、先日対談したオードリー・タンさんの印象についての質問。「実際どんな感じの方だったんでしょうか?やっぱりとてつもなく頭の良い方なんでしょうか?」という質問に、落合さんが対談を振り返りました。

放送概要

「とてつもなく頭のいい」の定義がどうなのかにもよりますが、お互いテンポよく話が進むと感じましたね。優しくて頭が切れる印象を受けました。「引き出しから物が出てくるまでのスピード」と「引き出しから物を出す時に使うツール」を同時に持っている。僕はスタジオで、オードリーは執務室での対談だったんだけど、デジタル資料がパシッと出てくる。そうやって喋ってる感じは、プログラマーライク、コンピューターやる人っぽい考え方と動き方だと見てて思いましたね。”プログラマーだけど人文的な知識があってマイノリティに優しい”という点が彼女が注目されるポイントでしょう。彼女の言うマイノリティ論は非常に的を得ています。対談時にオードリーが「私は私でなく、私でなくもない」って言っていました。この言葉は、多様性とかを考える上でとても大切だと思います。

オードリーは友だちの友だちだったりして昔からよく知ってはいたんですが、会ったのは今回が初めてです。IT担当閣僚に就任した時ぐらいにすごく面白いなと注目しました。なぜ話を聞いてみたくなったかと言うと、「オープンなコミュニティかつプラットフォーム」を運営していこうと考え方と実践するためのポジション。ポリティクスと意外と近いところにいるけど政治家じゃない、という絶妙なポジションにいる。党員との政治的な距離をちゃんと担保した上でやっているのが面白くて気になっていました。「オープンじゃないプラットフォームっていうもののが存在しえない」って話をして、「でも世の中にはオープンじゃないプラットフォームなんていっぱいあるじゃないか」って話が盛り上がったり、結構いろんな裏話も含めて盛り上がりました。

外国人は僕のことを「ヨーイチ」って呼ぶ人が多いんですけど、日本人からは「落合さん」「落合先生」以外で呼ばれることはほとんどありません。彼女に「何て呼べばいいですか?」って尋ねたら「オードリーと読んでください」と。「僕のことはヨーイチって呼んでください」って言って。久々にファーストネームで呼び合う番組だったんで、なかなか新鮮で印象的でした。

対談の中では、台湾が持っている「祝祭性」の話が面白かったですね。オードリーが言うには、台湾では選挙は祝祭。台湾で選挙をする、民主的に何かに参加することは、社会においての祝祭、お祭りなんです。だから皆がSNSでどこに投票するか話題にして、町中が盛り上がってる、と。社会において民主的に何かを決めて、その民主的に何かを決めたことによって、制度ができて、システムができて、プログラムができて、人々が何か社会のために動くっていうことに対して、そのお祭りが、非常に意味を成している。社会の中に祝祭があるということは、その祝祭に参加することで「コミュニティを自分が維持している」という自覚が常に生まれます。社会の中に祝祭があるということが、この分断の時代における意味のあるコミュニティの作り方なんだと、オードリーは言います。
一方、日本で民主主義が祝祭だったのは、明治期か大正デモクラシーの頃でしょう。「そのあと我々は祝祭をどう失っていったんだろう?」と考えると、安保闘争ぐらいまでは選挙はまだ祝祭だったのかもしれない。日本にも政治っていうのはまだまだ変えられて、外側からも変えられると思っていた時代があった。けれど、それからあとは色んなキャンペーンとかやってるけど、どんどんどんどん日本の政治的ムーブメントっていうのは、すごく弱まっていって、政治と民意と民主主義というものの間の距離っていうのをすごく感じるようになった。
「現在の日本は、台湾が持っているプラットフォームや祝祭性っから距離を感じるよね」っていう話を僕からしました。するとオードリーは「でも、大丈夫だ、ヨーイチ。日本にはCode for Japanとかあるし、意外とみんなプログラムとか書いて、祝祭はあるから」と言う。「確かに祝祭はある。僕もプログラマだからよく分かるんだけど、そこに属している人がそんなに多くない。台湾ぐらいの人口規模ならいいかもしれないけれど、日本という単位だとコミュニティが全員それを享受するような世界になかなか行けない」という風に、思いをぶつけあったのが非常に面白かったですね。

彼女との対談は、非常に心が安らぐ頭の回転時間でした。久しぶりにフルスピードで話しても相手がついてくる、いい体験をしました。すごくやる気が出て、元気になりました。また機会があれば対談したいなと思っています。

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