落合陽一さん、文化庁文化交流使の令和3年度の活動予定は?

<JFNラジオ「FUTURES 落合陽一RADIO PIXIE DUST」視聴者からの質問メール> 文化庁は10/29に日本の芸術や文化を広めるため海外に派遣する「文化交流使」に落合陽一さんら6人を指名しました。
番組前半の1通目はその「文化交流使」の活動内容について、みたらしさん(20代男性)から質問が。「新聞で落合陽一さんが来年度の文化交流使になられたと拝見しました。すごいですね、でもどんなことをするのかよくわかっていません。交換留学みたいな感じなのでしょうか?すると来年度は日本にいないの?」との質問に、落合さんがミッションや来年度の活動予定を語りました。

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放送概要

文部科学省の管轄にある文化庁という国の機関があります。文化庁文化交流使のホームページ(https://culturalenvoy.jp/)によると、「文化庁では、芸術家、文化人等、文化に関わる方々を一定期間「文化交流使」に指名し、世界の人々の日本文化への理解の深化につながる活動や、外国の文化人とのネットワークの形成・強化に繋がる活動を展開」しているということで、これまでに「延べ143人と26組(団体)を88か国以上へ派遣」しています。

令和2年度は海外8カ所で個展をするつもりだった

僕はいつもなら、学会などがあって毎月のうち1週間ぐらいは海外に居るんです。例えば、1、2月はサンフランシスコに居ることが多いですね。3月はテキサスのオースティン、4月はLaval Virtual(欧州最大規模のVRイベント)があるからフランス、5月はアメリカが多いですね、ボストンとかデンバーとかニューヨークとか。6月は何してるかな…7月はバンクーバー、8月はロサンゼルス、9月はオーストリア、10月はニューヨークが多いかな。11月は中国、12月はタイなどアジア地域。つまり12地域各1週間、年間3ヶ月は海外で過ごしています。でも、2020年は3月にfacebook本社(アメリカ)に行ったのが最後で、海外に出ていないんですよね。こんなに飛行機に乗らないのも珍しい。(2020年に全然本が出ていないのは、このせいもあると思います。僕は飛行機の中で本を書きあげることが多いんです。本を飛行機の中で書いて、終わったあと温泉で最後締める、みたいな感じなんですが。)

こんな風に文化交流使に指名される以前から、僕は海外各国に行く用事が多かったんです。なので、文化交流使として行くところどころのギャラリーで、個展やっていこうと思ってたんですよ。用事ついでに1泊分くらい文化交流使で予算を出していただいて、それで公的な任務にあたるっていうのができるならやれたらいいよね、っていうのを色んな所と話してたんです。せっかく海外に行っているので、ちょっと早めに入って現地の大使館等のネットワークを使って、毎回アートのイベントを開こうかなと。令和2(2020)年度は全8箇所でやるつもりでした。手始めは6月にスペインで個展を。毎年スペインでは「ソナー(Sónar)」という音楽イベントが開かれるのですがそこに出展しないかという話があって。でも3月ぐらいに(コロナで)雲行きが怪しくなってきて。直感でヤバそうだと感じ、6月以降の海外の展覧会の予定をすべてキャンセルしました。当然そのソナーも中止になりました。

ミッションは日本の文脈を引き継ぐメディアアーティストとしてメディアアートを広めていくこと

今回指名された文化交流使は6名。僕の他には、工学博士で茶人の太田宗達(おおたそうたつ)さん。ダンサーの北村明子さん。琉球舞踊かの志田真木さん。そういえば志田真木さんは個展に来てくれたって言ってたな…。邦楽ー古典的な笛を吹く、藤舎推峰(とうしゃすいほう)さん。SYOINGアーティストの吉川壽一(よしかわじゅいち)さん、すごいデカい筆とかでシャッとか書いてカッコいいんですけど。皆さん、僕より年上な気がなんとなくするなあ、何となくだけど。お茶の人、踊りの人、古典音楽の人、書道の人とかそんな感じで指名されるんですけど、毎年メディアアート・現代アート枠が一人いるんですよ。(過去指名された現代アート枠は)例えば、鈴木康広さん、明和電機さん、増田セバスチャンさん、東京都現代美術館の長谷川裕子先生。コンピューテーショナル折り紙の研究をしている筑波大学の三谷純先生とかもやってましたね。僕もその類です。

僕はメディアアートは日本の文化だと思っています。60年代の後のビデオアートのほとんどは、トリニトロンなどSONYのブラウン管で作られています。つまり、工業製品・電化製品が発達した社会の上で起こりうる文化芸術の一つだと思います。電化製品を大量に輸出した日本のレガシーの上にその文脈が繋がっています。その後筑波ではメディアアートが復興しますが、1985年のつくば万博の影響がたぶん大きいでしょう。つくば万博ではジャンボトロンなどメディアアート的な表現がたくさんあった。それが、そこにいた総合造形やアートやってた人たちに影響及ぼして、そのあと、岩井俊雄さんとかそういう人たちがどんどん出てくるきっかけになったような気がしています。そういった日本の中で引き継がれているメディアアート性っていうものがあり、それを海外に見せたいという気持ちがもちろんありました。ウルトラマンやガメラやゴジラといった「特撮」も日本の中で出てきた文化です。それからジャパニメーションもメディアアートもそうだと思うんですよ。もちろん現代アートと音楽とかを合わせてやってる人もいますが、ガジェットとかデバイスとか使ってアートやってる日本のタイプってすごく日本っぽいものがいっぱいあるなと思っています。国際的にもそこそこありますが、僕が海外で表現すると「やっぱ日本人ぽいよね」って言われることが多いんでそれもいいな、と思ってます。

僕のミッションは、そういったメディアアーティストとしてのメディアアートを広めていくことです。また、僕はメディアアートの定義問題だとか「メディアアートって何だろう?」っていうのをよく考えながら作品を作っています。そういったことをディスカッションするっていうのも面白いなと思っています。(過去に文化交流使になった)明和電機さんや鈴木康広さんとは実際距離も近いし、そういうような人たちがやってるっていうのは素晴らしいことだなと思っていて、次に続いていければいいなと思ってます。

令和3年度は海外での個展を計画中だが

来年はどうなるかな…。来年度明けてすぐ海外での展覧会を企画しています。僕が設営に行けるかどうかが重要なポイントですが、今はそこがすごく大変なんですよね。フランスやニューヨークのギャラリーでインスタレーションを作りたいなと思っていますが、現段階で、僕が行く主要な学会はすべてオンライン開催が決まっています。なので、入れるかどうか分かりません。ウィズコロナ下での文化交流使はオンラインが増えそうなんですよね。フィジカルなものは送ってしまって、オンラインで設営して、誰かスタッフさん向こうつけてもらって、ってことになりそうなんです。でも、それで本当に交流ができるのか?っていうのが結構重要ですね。なので、海外に行くとしたら割と長期でテレカン等で大丈夫なようにアジア地域に行こうかな、と勝手に思っている段階です。

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